
たたき染めで作ろう!「藍の葉バッジ」 〜まるびぃ工作パラダイス! その4
この記事では金沢21世紀美術館エデュケーター・キムラタケシがキッズスタジオの週末プログラム「ハンズオン・まるびぃ!」での活動をもとに、子供も大人も一緒になってワイワイ楽しめる工作を紹介します。
今回は美術館の広場で育つ藍の葉を使い、子供も大人もその場で楽しめて、葉っぱや作る人の個性が一つ一つに表れる作品制作です。藍の葉以外の草木の葉で作ってみた例も紹介するので、ぜひ身近な葉っぱをたたき染めするとどうなるか、試してみてくださいね。
●「葉っぱのぬいぐるみ」を作ってバッジにしよう!
「たたき染め」の手法で藍の葉っぱの姿を布に染め写して、葉っぱのぬいぐるみのようなふっくらした布バッジを作ろう!
(今回は針と糸で縫わずに接着剤を使います。)


●「藍の葉バッジ」の作りかた〜動画で紹介(約4分)
●「藍の葉バッジ」の作りかた〜写真で紹介

作り方イラスト:アラキイチゴ
用意する道具:ハンマー、はさみ、布用接着剤
(あると便利なもの:わりばし、鉛筆、洗濯バサミなど)
材料:染める布(平らで薄めの木綿布)、わた、安全ピン


手前:たたき染めする木綿布
準備:まず、たたき染めに使いたい藍の葉っぱを畑から採ってきます。




①藍の葉を二つ折りにした布にはさんで、上からハンマーでトントンたたきます。こまかく葉の全体をたたいて姿を写し取ろう。
※たたく道具はプラスチックハンマーが使いやすいです。まるくてなめらかな石などでもいいです。手を叩かないように気をつけて!
※二つに合わせた布がずれないように洗濯ばさみではさんでもいいです。


②葉の姿が布に染まったら、一度布を開いて葉を取りのぞこう。


※写真下の左がわには元の葉っぱがはりついています。葉っぱをはがしにくい時はガムテープなどを押し付けてはがしましょう。
布に葉がよく染まった面を外にして、葉っぱの表と裏の形がずれないように重ね合わせて、葉っぱより少し大きめに切り抜こう。

③布のまわりに布用接着剤をぐるりと塗って、2枚を貼り合わせよう。
2-3分待って少しかわかそう。

※木工用接着剤でも可ですが、布用接着剤(変性シリコーン系)が染み込みにくくて早く固まり、おすすめです。

④くっつけた布のはしを少しはがして、中にわたをつめよう。

※わたは布を切ったものなどでもいいです。プログラムではレンジフードの不織布フィルタを切って、折りたたんで入れました。
※わたは、わりばしなどで押し込むと入れやすいです。

⑤はがした布のふちをもう一度とじ合わせて、安全ピンを付けたらバッジの出来上がり!



●「たたき染め」と「ぬいぐるみバッジ」の面白さ
たたき染めは染めものの中では手軽にできるし、なんといってもトントンたたくことに本能的な楽しさなどを感じます。今回の「葉っぱのぬいぐるみバッジ」作りには、それらに加えて次のような面白さもあります。
・葉の両面を一度に写せる
…2枚の布で葉をはさんでたたくと一度に両面が写せて、布を広げたときの驚きもあります。
・ぬいぐるみみたいな立体コピーを作れる
…ヒラヒラした葉っぱの表裏を写した布の間に綿を入れると、ふっくらしてちょっと変わった葉っぱのコピーが出来上がります。厚みが出ることで何か生き物のような、キャラクターのような存在にも見えてきます。
・藍葉の染め色の変化を長く楽しめる
…木綿は絹に比べて繊維が染まりにくく、定着処理をしない「たたき染め」だと洗濯で色落ちしやすいです。くり返し洗って使う木綿のハンカチやTシャツには「たたき染め」は不向きかもしれません。(藍の育てかたを教えていただいた南部さんは、木綿のトートバッグに素敵なたたき染めをしていました。)
今回のプログラムで作るものにバッジを選んだのは、洗濯を気にせずに身近なものに飾りながら長く楽しめそうだからです。日光などで黄緑色が褪色して藍色が残っていく様子も藍の特徴として楽しんでください。

●藍以外の葉っぱでも「たたき染め」できるかな?
美術館の広場にはいろいろな草木が生えているので、藍以外にも「たたき染め」ができるのでは?と木の葉と草の葉の両方を試してみました。




草の葉のほうが木の葉より水分が多いのか、たたき染めしやすかったです。染めた布を1ヶ月ほど経ってみると黄緑色はあせて、全体が少し枯れたように薄く茶色みがかってきて元の色が長持ちしませんでしたが、いろいろな葉のたたき染めもそれぞれの葉の特徴を楽しむことができました!
●今回の素材「藍の葉っぱ」と美術館広場の「まるびぃ みらい畑」について
この工作は2021年10月にキッズスタジオの休日プログラム「ハンズオン・まるびぃ!」での活動から紹介したものです。(写真もその際の記録画像を中心に選んでいます。)
今回素材に選んだ藍が育ったのは、美術館の広場にある「まるびぃ みらい畑」です。下の記事で交流課の森さんが紹介している活動「まるびぃ みらいカフェ」のメンバーが育てている畑で、季節や美術館の出来事、人のつながりなどに合わせていろいろな植物を栽培したり、温床を作って落ち葉を堆肥にしてみたり、いろいろな様子が見られます。
2021年の初夏、メンバーの知人で富山県魚津市で藍を育てる南部歩美さんから苗を分けていただけることになり、上の記事にあるアーティスト・村上慧さんと作った温床の隣の空きスペースでメンバーが力を合わせて藍を育てました。
上記で紹介した「藍の葉バッジ」は、この畑と藍の葉をキッズスタジオを訪れるみなさんと楽しめるようにスタジオスタッフで提案するとともに、南部さんやメンバーの皆さんとも試作しながら準備したものです。
(キムラタケシ)