金沢21世紀美術館交流課

「金沢21世紀美術館交流課note はじめました!」 新しい出会いや繋がりを皆さんと一緒に創り出すため、スタッフ8名がレポートや批評を発信していきます。どうぞご覧ください。

金沢21世紀美術館交流課

「金沢21世紀美術館交流課note はじめました!」 新しい出会いや繋がりを皆さんと一緒に創り出すため、スタッフ8名がレポートや批評を発信していきます。どうぞご覧ください。

記事一覧

「5月のヒトツバタゴ」-夢の時間-(連載小説#2)

みんなとシアター21〜目の見えない人と映画鑑賞

秋の美術館写真散歩:まるいものクラブ

365日オープンまるびぃ:開かれた美術館への1歩「市民美術の日」

みんなと美術館〜「またね」と言える場所

(劇評#1)「月面を流れる川」: コトリ会議『晴れがわ』を観て

「5月のヒトツバタゴ」-夢の時間-(連載小説#2)

僕の名前は国木星人。美術館で働く35歳。実は美術作家でもある。 16年前の10月9日、金沢21世紀美術館はオープンした。 僕は美術館の事務所でバイトをする美大生だった。オープンしたばかりのオフィスの棚はたくさんの本や書類で埋まっていて、新しく出来たばっかりとは思えないぐらい、使いこなされていたが匂いは新しい建物だった。そんな金沢21世紀美術館には、敷地内の別棟にプロジェクト工房という、天井クレーンを備え付けた、なんでも作れる施設がある。 美術館がオープンして間もなく、ある作

みんなとシアター21〜目の見えない人と映画鑑賞

2018年の秋、東京の田端にある座席数20の小さな映画館、CINEMA Chupki TABATA(シネマ・チュプキ・タバタ)を初めて訪れました。 ここは「日本一小さくて、日本一やさしい映画館」を謳っていて、目や耳の不自由な人、車いすの人、発達障害のお子さんや小さなお子さん連れの方など、誰もがいつでも安心して一緒に映画を楽しむことができる、すべてのお客様を対象とする「ユニバーサルシアター」です。 ▲CINEMA Chupki TABATA(外観・ウェブサイトより転載)

秋の美術館写真散歩:まるいものクラブ

キムラタケシです。私はカメラを持って美術館の広場を歩くのが好きで、季節や時間ごとに変わっていく風景を写真を撮りながら楽しんでいます。 ●金沢21世紀美術館(まるびぃ)の広場 この美術館は、円形の建物のまわりに芝生の広場があり、1周約400mほどの園路を歩いていると、まるくカーブした壁の向こうから恒久展示作品が見えてきたり、銀色のイスや茶室があったりします。そして実はいろいろな樹木も植えられていて、四季の樹木や草花に出会える広場でもあります。 ●秋のまるびぃ「まるいものク

365日オープンまるびぃ:開かれた美術館への1歩「市民美術の日」

この金沢21世紀美術館交流課のnoteをスタートさせる11月3日は「市民美術の日 オープンまるびぃ」が開催される日です。私はこのプログラムを担当している森といいます。 この機会に「オープンまるびぃ」の背景やこれから目指したいことを紹介します。 市民美術の日「オープンまるびぃ」について金沢21世紀美術館は「新しい文化の創造」と「新たなまちの賑わいの創出」を目的に2004年に開館しました。 「まちに活き、市民とつくる、参画交流型の美術館」をミッションの1つに掲げる当館は展覧会や

みんなと美術館〜「またね」と言える場所

美術館で「お祭り」がしたい。 好きな場所で好きなことをしたい。 これが東京の下町で生まれ育った私の「美術館で教育普及担当の学芸員になりたい」志望理由でした。 私にとってお祭りとは、地元で御神輿を担ぐ5月の2日間。人が集い、エネルギーが生まれ、「楽しかった。またね」と日常へ戻って行く。待ってました!な特別な日を意味します。 小学6年生の時に初めて行った美術館の印象は、いろんな作品を見ることができる広い場所。 その後、大学4年生の時に博物館実習で「教育普及」という言葉を

(劇評#1)「月面を流れる川」: コトリ会議『晴れがわ』を観て

コトリ会議『晴れがわ』金沢公演(2020.8.14-16 金沢21世紀美術館 シアター21)公演風景   photo:奥祐司  母体の中で赤ちゃんが浸っている水を羊水という。その語源は古代ギリシア語にさかのぼる。胎児を包んでいる膜が生贄の羊の血を入れた鉢に見えるからという説が有力らしい。  人間と羊は命の根源的なところでつながっているのだろうか。コトリ会議の『晴れがわ』(作・演出:山本正典 共同演出:原竹志)を観てそう思った。「人は死ぬと、月で羊人間に生まれ変わる。」こ