「5月のヒトツバタゴ」-夢の時間-(連載小説#2)
僕の名前は国木星人。美術館で働く35歳。実は美術作家でもある。
16年前の10月9日、金沢21世紀美術館はオープンした。
僕は美術館の事務所でバイトをする美大生だった。オープンしたばかりのオフィスの棚はたくさんの本や書類で埋まっていて、新しく出来たばっかりとは思えないぐらい、使いこなされていたが匂いは新しい建物だった。そんな金沢21世紀美術館には、敷地内の別棟にプロジェクト工房という、天井クレーンを備え付けた、なんでも作れる施設がある。
美術館がオープンして間もなく、ある作